教員ブログ
二学期が始まった~歯を食いしばって生きる~
2012/09/01
今日から1・2年生が登校し、二学期が始まりました。3学年が揃い、活気で出てきました。今年の夏も暑い夏でした。夏休み、みなさん、元気にしていましたか?疲れた体と心に十分な休養が与えられたでしょうか?
今年はオリンピック・イヤー、ロンドン・オリンピックが開催されました。いきものがかりの♪風が吹いたら~♪というテーマソングが耳に残っています。日本選手団の、特に女子の活躍が光りました。なでしこジャパン、卓球、水泳のメドレーリレー、アーチェーリーなどの団体戦だけでなく、柔道やレスリング・水泳などの個人戦でも結果を出しました。全身から、顔つきから鬼気迫る気迫が充満していた女子柔道の松本薫選手。レスリング女子3連覇を達成した吉田沙保里選手。「北島さんを手ぶらで返すわけにはいかない」と奮闘した男子水泳メドレーリレーの選手たち。様々なシーンが浮かんできます。
30日から、今度はパラリンピックが始まりました。さまざまなハンディを乗り越えた熱い闘いに声援を送りたいと思います。
夏の甲子園は春夏同一カードの決勝戦となりました。今回は甲子園へ行くことができなくて、テレビでの観戦となりましたが、高校生の爽やかなプレーが画面を盛り上げました。見応えのある試合が多かったですね。
英真学園高校の生徒の皆さんもこの夏休み、各種の講座や講習会、合宿など忙しく活動した人も多いでしょう。インターハイ初出場の島本君、本選への出場はできませんでしたが、頑張りました。応援に駆け付けた生徒の皆さん、ありがとう。運動部の皆さんだけでなく、文化部の皆さんもいろんなレベルの大会に参加し、夏の記憶が刻まれたのではないでしょうか。
さて、2012年夏、私の記憶を一つ紹介したいと思います。
私の田舎の九州:熊本では豪雨があり、今も復旧活動が続けられています。豊肥線という熊本と大分を結ぶJRの鉄道の一部がまだ不通となっています。今年も各地で豪雨・自然災害だけでなく水の事故、などもたくさんありました。そんな中で、強烈に残っているのは、一人のジャーナリストの死です。山本美香さん、シリアのアレッポで取材中に銃撃され、亡くなりました。9発の銃弾を受けていたといいます。45歳でした。
先日読んだ彼女の著書『戦争を取材する』に次のように書かれています。
「私は、世界の戦場を取材して、テレビや新聞、雑誌で報道するジャーナリストです。私の仕事道具は、カメラと小型ビデオカメラ。そしてノートとペンです。~小学生の時は冒険学者や考古学者になる夢を見ていました。ドリトル先生の物語やテレビの海外ドキュメンタリーの影響を強く受けていました。~中学生になるとテレビで活躍する海外特派員の姿がとてもかっこよく見えました。特派員になれば、仕事をしながら世界中を旅することができるなどと、夢がふくらんでいきました。そして、特派員の活躍を見ているうちに、だんだん仕事の内容に目がいくようになりました。事件や事故、災害や紛争の現場からのリポートする仕事の中身に興味が移っていったのです。私の父が新聞記者だったことも大きく影響しています。~世の中の出来事を鋭くウオッチする父の姿を見ながら育ったせいでしょうか。いつのまにか報道記者になりたいと思うようになっていったのです。~日本はとても安全で自由で平和な国だと思っています。もちろん凶悪犯罪や自然災害がおきることもあるので油断はできませんが、突然、爆弾が落ちてきて命を奪われる心配は、ほとんどありません。一方、私が取材で行く国の子どもたちは、いつも危険にさらされています。明日をも知れぬ毎日ですが、一日一日を懸命に生きています。過酷な運命にもめげず、負けるものかと歯を食いしばって生きているのです。そんな姿を見ると、人間って強いな、人間ってたくましいなと心強くなります。~」
ユニセフの資料によると、「世界では、年間約150万人の小さな命が、出生後、わずか24時間も生きることができません。」そんな厳しい現実が世界にあります。
一方で、大津市での「いじめ・自殺」の問題がクローズアップされています。昨年度の日本の自殺者数は、3万370人と報告されています。交通事故による死者は4800人余りですから、その多さは際立っています。誰一人として喜べることではありません。そんな厳しくも悲惨な現実が日本にあります。
そんな世界の、そんな日本で私たちは生きています。「先が見えない時代」「生きづらい時代」ともいわれています。少しオーバーな表現ですが、皆さんの周りには様々な危険(見える危険・見えない危険)が牙をむいて待ち構えています。その危険から身を守るのは、自分自身です。危険に巻き込まれない、危険をやり過ごす、護身術(身を守るすべ)を身につけることです。そのために大切なことは、学ぶことで真実を知り、社会を知り、世界を知るということです。そして力をつけること、誰にも、困難に負けない力をつけること。「歯を食いしばって生きる」ことです。今、高校生として学んでいる一つの意味がそこにあるのだと思います。
二学期が始まりました。三年生はすぐに入社試験、入学試験が始まります。就職先・進学先をきっちり決めて卒業しましょう。1・2年生は、これからの英真学園を背負って立つ気概を持って生活しましょう。また、二学期は、一年の中で一番長く、また一年の中心となる二学期です。食堂棟の3Fに「百花繚乱~耀け英真魂」という生徒会の学園祭・体育祭に向けたスローガンが横断幕に書かれています。生徒会執行部の皆さんが、夏休みに登校して作成したものです。学園祭や体育祭などの大きな行事をとおして人として成長する様々な学習機会があります。生徒の皆さんと先生方としっかり取り組んでほしいと思います。
生徒の皆さんにとって、かけがえのない思い出と喜びと力を手にする二学期となるように、「歯を食いしばって」様々な課題に真正面から取り組み、高校生として生きた結果を残しましょう。(内田)
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