宇宙・地球系ゼミ
(中野ゼミ)
平成19年度のサイエンス・ゼミでは、「BSアンテナを利用した太陽電波望遠鏡」というテーマで、恒星から発せられる電磁波と電磁波そのものについて、調べました。(発表レジメ)
電波望遠鏡とは?
私たちが見ている光も電波と同じ電磁波の一種です。私たちは可視光と呼ばれる電磁波を光として見ています。しかし、電波とよばれている電磁波は私たちには直接見ることができません。天体からは光などいろいろな電磁波を放出しています。そのうち、光はいわゆる“望遠鏡”で観測します。しかし、電波はいわゆる“望遠鏡”で見ることができないので、電波を見るための“電波望遠鏡”が必要になります。このとき、電波は電気信号に変換され“見る”ことができます。
BSアンテナを使っての何を観測したのか?
BSアンテナが受信できる電磁波の周波数は、11.7〜12.0GHzです。これは、波長にすると約2.5cmの電磁波となります。この波長で、観測できる電磁波は天体からの熱放射(黒体放射)と呼ばれるものです。
装置紹介
天体からの電波はとても微弱であり、増幅する必要があります。このときノイズまで増幅されないようにしなければなりません。そこで、今回電波望遠鏡のために開発された、マイクロ波検波増幅ユニットを利用しました。これは、情報通信研究機構・鹿島宇宙通信研究センターにおける科学教育サイエンスキャンプのためにつくられたものです。
BSアンテナは、市販されているものを使用しました。また、受信した電波は電圧として出力されるので、デジタルマルチテスターを使用しました。
観測
これらの装置を使って、まずいろいろな方向にアンテナを向けて電波強度を測定してみました。
何もない空 0.323V
地面 0.628V
人 0.535V
太陽 0.423V
BS放送衛星 2.89V
ここで、何もない空は宇宙の背景放射である3Kの熱放射の電波と考えることができます。また、地面や人体は約300Kの熱放射として用いるために測定した。このとき厳密な測定には、一般に電波吸収体を使用します。さらに、BSアンテナが本来受信するBS衛星からの放送電波を受信すると、天体からの電波に比べて大変強いことがわかりました。太陽からの電波は地面や人体より弱く意外でした。これは、アンテナのビーム幅に比べて、太陽の視直径が小さいためだとわかりました。
この測定データをもとに太陽の輝度温度を求めてみました。→発表レジメ参照